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傷だらけの太陽と赤く光る孤高の月 - Men's Judge - 格信犯ウェブ

Weekly Column

Men's Judge

傷だらけの太陽と赤く光る孤高の月

MJ
2009.02.10
 遅くなりましたが、昨年末のDynamite!!の観戦についてです。

 前提として、僕はどちらかと言うと桜庭選手のファンですが、田村選手も好きだし、当日は一方に偏った応援はしていませんでした。
 青木選手が鮮烈な足関節で一本勝ちを納めた後に、会場に突如エンドロールが流れ、年末恒例のDynamite!は一旦終了、遂にその時間は訪れた、後から見た地上派放送の煽りVTRとは全然違い、Uインター時代の対決や、例のクーデターなどを紹介。


「真剣勝負で何の実績もないのに」

「やめますか、じゃあ」

「悪く言ってしまえば、格闘技は殺し合いだと思うんですよ」

「やめましょう」

極めつけは
「言っていいのか、、、3回目はプロレスです」


 その発言の数々で僕らを含め、あれだけ盛り上がっていた観客を静まりかえらせた。言葉の切り出し方や、映し方に良し悪しはあると思うが、PRIDE最終試合とも取れるあのタイトルコールには少しテンションが上がった。

 そして入場はいつもの桜庭ワールドとあのテーマ曲だったがいろいろな気持ちが交錯し、僕はただ一言、正直全然楽しむことができなかった。

 僕は自身の結婚式でもあのテーマ曲を使用し、過去の格信犯DJイベントでも、完全な自己満足でピークタイムにあの曲をプレイして自らのテンションを上げていたが、これほど重い気持ちになったのは始めてだった。二人の戦いに対する想いなのか、数分後の結果に対する恐れなのか煽りVTRのせいなのかわからないが、すごく重い気持ちになった。

 両者の背景にあるモノを少なからず知っている人にとっても決して、ノスタルジックに浸るような内容でも結果でもなかった。

 恐らくお茶の間では、チャンネルを切り替えた人も多いだろうでも二人の背景を知らない人に、一言でつまらない試合などと言われるような試合ではなかった。

 KO決着が多く、エキサイティングな試合の連続の後の、あの試合内容に、今まで野次っていた観客が静まりかえり、膠着してもブーイング一つ起こらない、ローキック一発に呼応する「オイ」という掛け声すらない空気が物語っている。それは現場でしか感じることのできない、あの二人にしか作れないモノに圧倒されたのだろう。

 勝負論とは別の次元で、あんなに深い気持ちで格闘技の試合を見たのは始めてだと思うし、今後も難しいだろう。

 この両者が同じリングに立つだけで言いようのない緊張感。

 最後まで悩んだが生で見届けることができて本当によかったと思う。やっぱり格闘技は生で見るものだと改めて思い知らされた。ただ田村潔司×桜庭和志の戦いの後に何が残ったか?今さら追求するつもりもないが、答えはわからないまま・・・。
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