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ミドル級T開幕戦観戦記 ~070716_HERO'S~ - 闘議(とうぎ) - 格信犯ウェブ

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闘議(とうぎ)

ミドル級T開幕戦観戦記 ~070716_HERO'S~

u-spirit
2007.07.22
 台風一過で久々の晴天。3連休最後の休日を有意義に過ごそうとする車で、港北地区は大渋滞。裏道を抜けながら、なんとか50分前に到着。会場入りの時、偶然、セコンドから引き上げてくる田村潔司と遭遇。メインゲートの装飾はベガスをイメージしているのか?コンサート会場の様で格闘技イベントっぽくない気が…。スポンサーがパチンコメーカーだけに仕方ないか。着席時にネットで参戦が噂される”ダッチ・サイクロン”アリスター・オーフレイムを西アリーナ席で発見。90%くらいの客入りで、まずまず。実券販売席はほぼ埋まっているが、招待席エリアに空席が目立つ。10分押しで開会。
第1試合
勝村周一朗×アレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ
 ペケーニョは、所に敗れたものの修斗ライト級王座を5年以上も保持し続けた実力は伊達ではない。勝村選手との対戦は、高度な技術の”極め合い”と予測を裏切り、打撃の応酬となり、真っ直ぐ後退する。勝村のチンにペケーニョフックが炸裂してKO葬。勝村選手はZSTルールの方が向いている。会場へ向かう途中、ペケーニョ兄弟と親交の深い”入谷久美”さんを見かけた。さぞ、喜ばれている事だろう。
第2試合
アンドレ・ジダ×ウマハノフ・アルトゥール
 ノーガードスタイルで、不気味なウマハノフはジダの早いジャブを見切る。ジダも戦法を変更し、ローキックから組み立て、踏み込んでフックから連打を繰り返し、クリーンヒットを数発あてると、堪らず、しゃがみ込んだウマハノフを追撃してKO。桜庭が認めた男って触れ込みは…如何な物か?
第3試合
柴田勝頼×ハレック・グレイシー
 プロレスラー期待の星、柴田の総合第二幕だったが、キッチリ、グレイシーマジックの餌食となり腕を取られ、無念のタップアウト。若さ故の”練習ぶっ飛び、脳天空白状態”が端で観ていて分かった。船木との練習で培った10分の1も出せなかった事は本人が一番、悔いているだろう。少しでもクレイバーさを持てれば…。関係ないが、この試合”UZI”がリングアナとして登場していた。
第4試合
宮田和幸×ビトー・“シャオリン”・ヒベイル
 宮田は頑張った。勇気と戦術で試合をコントロールし有効な打撃を随所に繰り出していた。しかし、ヒベイルはその上をいく化け物だった。何と冷静で、何と俊敏な動きだろう。ヒベイルに転がされたら”敗北”が決定してしまうのか?パスと同時に肩固めって…早すぎるよ。どんな練習したら、あんな連動した動きが出来るんだ。
第5試合
ブラックマンバ×所英男
 まぁ、所の人気は凄い。しかし、ブラック・マンバことカルター・ギルとでは、本来の階級が違う気がする。終始、バックを取られて上手に転がせない所は、マウントパンチの餌食となり、レフリーに止められる。昨今の格闘技において多用される”リベンジ”の虚を垣間見た。誰も得しない試合だった。
 ここで20分の休憩。
 そして、休憩明け前田日明SVがリングイン。船木誠勝が呼び込まれて”現役復帰”を宣言。しかし、若年層のTV先入型ファンが集う会場の反応はイマイチ。これがPRIDE埼玉アリーナなら爆発している。船木が自己紹介で「ヒクソンに惜しくも負けてしまい」と説明したコメントに笑いが起きたのが救い。15才でデビューした天才が7年の沈黙を破り復帰する。感慨深いが、船木はデビューが早かった分だけ、年齢的には田村や桜庭と同世代。まだ、充分できるだろう。
第6試合
宇野薫×永田克彦
 宇野薫はトータルファイターでバランスが良い。しかし、試合中、相手と流れに合わせる傾向があり積極的とは言い難い試合になる事が多々ある。勿論、今回もポイントは薫王子が取っていた。が、本当にこれで良いのだろうか?過去のルミナ戦を知る者から観れば、物足りないとしか言えない。あの”ルミナ越え”の輝きを取り戻して欲しい。10代と思しき乙女たちの”カオルくん〜”って声援に”32歳ですから”と突っ込みたくなった。
第7試合
メルヴィン・マヌーフ×ベルナール・アッカ
 スタンドスキルの差が余りにありすぎて、気の毒だった。これは無理な話だ。しかし、アッカは超人マヌーフの強打を喰らっても失神せず、戦意も失っていなかった。一言、立派である。身体能力は秀でているので、片手間でなく本気で練習し、コンビネーションやガードを覚えれば、ソコソコ闘えると思う。特に”アッカ蹴り”は、有効な武器だと思う。
第8試合
田村潔司×金泰泳
 何も言葉がない。歴代ワースト試合かも。田村のあのバテ方は、何だろう。田村は負けてはいないが、勝ってもいない。凌いだ者と攻めあぐねた者の試合。ただ、それだけ。プロにあるまじき試合。これがメインカードでは、泣けてくる。会わせる顔もなく日明兄さんの前も素通り。「仲間内のスパーリングだけでは試合の準備としては足りない部分があるしね。」との日明兄さんの言葉が胸に響く。田村が選手として下降線を急激に転がっている事に焦りと悲哀を感じた。そして、また”幻想”との揶揄に、耐えねばならぬ日々が来る。
<総括>

 HERO'Sの会場は、TVから取り込んだ若年層(女性)ファンが多く、黄色い声援が彼方此方で聞こえていた。しかし、若干、お行儀が悪い気がした。試合中に席を立ち、頻繁に出入りする。目的の選手以外の試合は、メール、おしゃべり、おやつとまさに教室の様だ。興行戦略として、彼女たちを取り込むには成功したが、本当に”惹きつける試合がない”という事実の裏返しでもある。PRIDEが頓挫したままの今日、窮地にある日本の総合格闘技を背負って立つ!との意気込みに異論はないが、肝心の選手選考とマッチメイクをもっとシビアに考えて欲しい。人気獲得の為に、エントリー選手を日本人で固めていては、不公平感がいつでも払拭できない。ベルトの価値は積み重ねた試合の濃度で決定する。やはり、非力なれど日本人という理由で、いつまでも永田や宮田のポテンシャルの高さだけを信じて待つにも限界がある。噂されるPRIDE系の新たな強豪選手を連れて来られるか?が今後のHERO'S、如いては日本の総合格闘技発展をも握る重要なカギとなる気がする。

 最後に称えたい事柄を。今大会のレフリングは最高に素晴らしかった。特に試合を止めるストップのタイミングが、非常に適切で安心して観戦できた。この競技性向上を踏まえた改善は賞賛に値する。今後も手本となる様に、この水準を維持して欲しい。それと、解説に中井祐樹氏を登用したのも競技普及には非常に良い選択だったと思う。
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