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総合格闘技向上委員会

ver.25.0 儚く消える夢ではない -080315_DREAM.1-

marc_nas
2008.03.17
ーPRIDE×HERO'S×K-1=DREAM。
地球上の格闘技、全てがここに集結。その名はDREAM。

 そんな仰々しい名文句から地上波放送がスタート。夢路をたどらずにはいられない。

 オープニングの全選手入場、煽り(試合前の紹介)VTRなど、今までのTBSのHERO'Sとは一戦を画す。今までの煽りVは、お涙頂戴の家族愛ばかりをフューチャーしていたが、今回は、ショートームーヴィー並の完成度を誇ったPRIDEの演出陣を組み入れ、かつ地上波の一般視聴者にも伝わる内容になっていた。僕にはもっと格闘技カラーを出して欲しいところだけれど。
※ちなみに会場では立木文彦さんのナレーション

 解説は(PRIDE・TK高阪)×(HERO'S・須藤元気+山本KID)のコラボ。レフェリーも、(PRIDE・島田+野口)+(HERO'S・芹沢)と、これまたコラボ。マッチメイクだけでなく、すべてが夢の掛け合わせ

 そして、肝心のPRIDE vs. HERO'Sという図式の試合結果はというと、KID、ヒベイロ、宇野あたりのトップ所が出場していないとはいえ、大方の予想通りPRIDE勢の全勝となった。

もっとも僕の中での-70kgのランキングは以下の通り、PRIDE勢が占める。
1:五味隆典[PRIDE]
2:桜井マッハ速人[PRIDE]
3:青木真也[PRIDE]
4:ギルバート・メレンデス[PRIDE]
5:山本“KID"徳郁[HERO'S]
6:川尻達也[PRIDE]
7:J・カバウカンチ(J.Z.カルバン)[HERO'S]
8:石田光洋[PRIDE]
以下、V・ヒベイロ、J・ハンセン、宇野...。
※65kg級のKIDや76kg級のマッハも含み、BJペン、G・サンピエール除く

 もちろん、HERO'Sのトーナメントを制したKIDやカルバンは強いのだが、対戦相手がリトマス試験紙としては、世界基準ではないから。しかし、そんな創り上げられたHERO達が、世界基準のPRIDE勢と相見えるのだ。難しい理屈は抜きにして、純粋な"格闘技のファン"としては、こんなワクワクは夢心地夢うつつになっている場合ではない。
地上波での放送順に各試合を振り返ってみる。

■ヨアキム・ハンセン×朴光哲
 修斗→PRIDEに出場していたがHERO'Sに移籍したハンセン。長いリーチのせいなのか、ジャブにしろショートレンジの打撃が強く、長い足で、胴を四の字にロックし、グラウンドでも次々に極めを仕掛ける。修斗の体現する打・投・極、全ての面で朴を圧倒。「もっと来い」と挑発したりと面白い試合ではあったが、この試合をトップに持ってきたことが、今までのTBSからは信じられない。

■ミノワマン×イ・グァンボム
 実際の会場での第一試合はこの試合。元プロ野球選手なんて肩書きを持つ相手を用意するあたり、HERO'Sイズムの残骸か。こんなクソみたいな相手でも、エンタテインしようとする美濃輪をリスペクト

■桜井マッハ速人×門馬秀貴
 本来の76kg級で減量苦がなかったのか、顔色のいい二人。得意の首相撲からの膝、ローが素晴らしくいいマッハ。それにしても、止めるのが遅すぎる。死んじゃでしまうよ。

■川尻達也×ブラック・マンバ
 戦前の予想では、川尻の圧倒的勝利が多かったはず。蓋を開けると、腰が重くテイクダウンを許さず、グラウンドになってもマニュアルにはない破天荒なディフェンスと、下からの振り幅の長い膝で極めさせないマンバ。ただ、マンバ、ロープを掴みすぎ。イエローを与えるべき。

■エディ・アルバレス×アンドレ・ジダ
 今大会、ベスト掘り出し者、そしてベストインパクトを残した試合。ジダのシュートボクセ仕込みの大振りでありながら、停まらない打撃により、2度のダウンを許したアルバレスだったが、回転の早いコンビネーションで盛り返す。そして、確かなレスリング技術とパウンドテクでボッコボコに。試合後にはコーナーポストからバク転まで披露。まごうことなき珠玉。この眩しい光、石田を持ってしても消せるのか。

■石田光洋×チョン・ブギョン
■宮田和幸×ルイス・ブスカペ
■永田克彦×アルトゥール・ウマハノフ
 他の試合は完全ノーカットだった分、数十秒のダイジェストとなった3試合。ウマハノフ以外は順当に。ノーカットで観たかった。

■J.Z.カルバン×青木真也
 一瞬で極められる関節を持つ青木と、一瞬でKO出来る打撃を持つカルバンの異常な緊張感を放つ、一進一退の攻防。この空気感を待っていた。PRIDE×HERO'Sの図式を最も感じられる試合だっただけに、まさかのノーコンテストは残念。どういう裁定が下され、どちらが勝ち上がるのかは一週間以内に会見にて。

■ミルコ・クロコップ×水野竜也
 オープニングからCM明けまでウザいくらい、何度も煽られたミルコ凱旋。水野に、K-1での澤屋敷のシンデレラストーリーを、期待するもやはり予想通り。ミルコの次戦、噂されるマイティ・モー、バンナ、チェ・ホンマンに夢見る
 以上、簡単な寸評。総括的なことを言うと、僕らが胸震わせたPRIDEは、PRIDE以外の舞台では出せない。そんな期待はナンセンスなのだ。逆にみると、PRIDEでは足せなかったエッセンスも加味された。

 これが、ケミストリーかと問われると、第一章にしては大いなる化学反応。メインの試合結果こそ残念ではあるが、両社の大連立なくしては実現出来なかったマッチメイクであることは確か。


 僕が求めること。これは変わらず総合格闘技という競技の発展。
 PRIDE消滅により、爆発的な格闘技ブームは儚くも消え、ライバルを失い迷走しかけたHERO'S。
 同時に消えかけた総合格闘技の波。
 もう一度ビッグウェーブをもたらすべく、墜ちたライバルをすくい上げたHERO'S。

 両社が少し距離を置いて並立し、年末に両王者が対決するのが、最良の策なんだろうけど、それは夢物語。UFC×PRIDEしかり、利害関係の交錯する今の格闘技界おいては、難しい。

 ならば企業のM&A(合併と吸収)のように、能力に合わせて、舵を取る方と、サポート役を臨機応変に担えばいい。事実、谷川Pは関与せず、元PRIDE陣営が演出〜マッチメイクまでを請け負う。

 これだけの準備された舞台と、優秀なソフトを抱えているのだから、最大公約数を求められなければ、それはもう企業として罪だ。

 大連立を唱えた時点で、世界最高の先導者なのだから、周りの見えぬ独裁者とならず、総合格闘技界をいい方向に扇動して欲しい。それは夢ではなく、使命であることを努々(ゆめゆめ)忘れないで欲しい。大会コピーが「誰かの夢ではない。あなたの夢である。」であるように。
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