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葬送の式典 ~071231_やれんのか!~ - 闘議(とうぎ) - 格信犯ウェブ

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闘議(とうぎ)

葬送の式典 ~071231_やれんのか!~

u-spirit
2008.01.03
迷った挙句、田村のいない方”やれんのか!”へ向かう。真新しい首都高 外環状を経由して新都心IC。以前は、ほぼ2ヶ月間隔で通った埼玉スーパーアリーナ。便利になった分だけ、「今更…」と恨めしい気分にさえなる。そんな、久しぶりな光景に浸り、駐車場へ入庫する。先に開催されていたハッスル関係者と駐車場で遭遇し挨拶。その方の妹さんがバイトしている露店で”やれんのか!汁”を馳走になる。看板には「喰えんのか!」と書いてあり、食の安全が厳しく言及された年に、なんと横柄な売り文句だろう…と笑。場内はハッスル繋がりでアリーナ仕様。従来より小規模だが平等にどの席種からも観戦し易く、リングを包み込む配列で個人的には、こちらの方が好み。座席に着くと周囲には多くの知人、友人が来場していた。ハッスルとのWヘッダー組も多く、連れの女性が疲れて寝ている姿が目立つ。現地リポを頼まれた3人へのメールを作成していると目の前をM−1グローバル代表のモンテ・コックス氏が通り過ぎる。少なからず2008年の大連立のキーマンは、この巨漢のオッサン。開幕時間が近づくにつれ、待たされたファンのボルテージは上がりまくり。

そして、「それは一夜限りの…」至宝の佐藤&立木Vにて開幕。恒例の高田太鼓演舞で会場はアゲアゲになり、褌なし本部長の出て来いやぁ〜では無く、「かかって来いやぁ!」で出場選手紹介。秋山には恐ろしい程のブーイング。対照的に青木とヒョードルには、一時のサクやシウバを彷彿させる大歓声が上がる。その歓声に跳関十段は、感極まり顔を覆い隠し涙。やっぱり、この熱はHERO'Sの会場には無い。
<第1試合>
●ローマン・ゼンツォフ×マイク・ルソー○

戦前、オープニングとしてはパンチに欠けるカードと思えたが、初見だったルソーのスキルが高く、巨漢に似合わず器用であり流れるようなフィニッシュで感心させられる。


<第2試合>
○川尻達也×ルイス・アゼレード●

川尻の見事なビルドアップされた肉体に期待が膨らむもフィニッシュを焦って強引になり過ぎ、明らかな空回り。噛み合った様な、噛み合わなかった様な、キレの無い勿体無い微妙な試合となる。川尻にとって長すぎた空白が裏目に出たか?彼の実力はこんなものでは無い。


<第3試合>
○瀧本誠×ムリーロ・ブスタマンチ●

ブス先生のネチッコイ攻めに1Rは防戦一方の瀧本、2Rに起死回生の右ストレートから左フックをヒット!ブス先生の腰が砕けるも、タッキーが仕留め切れず判定にダウン分だけ有利な瀧本が勝利。
『総合格闘技を舐めてました』発言から丸3年、彼の格闘技人生は結果とカードに恵まれず暗中模索の日々だった。それでも挑み続け、ブスタマンチを敗るほどの地力を持つ”白き天才”の「戦極」での活躍に期待。


<第4試合>
○石田光洋×ギルバート・メレンデス●

この階級で台頭と言えば、カルバンと青木、そして、メレンデス。次いで川尻、その後ろに石田だと思っていた。しかし、空白の時間に程よい静養とスキルアップをした石田は、メレンデスの多彩な攻めを尽く潰す”巧み”ぶり。マットに叩きつけられれば、即座にやり返す心意気。メレンデスを後、一歩の所まで追い込んで時間切れ。だけど、いい試合だった。総合格闘技とは選手も技術も進化している事を象徴する試合。


<第5試合>
○三崎和雄×秋山成勲●

問題のクリームが盛り込まれた過激映像で”ヒール”秋山を煽る。ブーイング飛交う場内に出てきた秋山は表情ひとつ変えず。しかし、秋山の座礼でさえ、場内を逆撫でする演出のひとつに見えてしまう空気が漂う。一方の三崎和雄は、己の奥底から湧き出るもの、押し寄せるものを必死に抑えるかの様に、飛び跳ねながら入場する。

運命のゴング、隣席の知人の彼女が「これは?K-1?」と錯覚を起こしてしまう程、スタンドオンリーな展開に。序盤に秋山の見事なワン・ツーがヒットし三崎は意識を刈り取られフラッシュダウン、秋山は続けてパウンドで追撃するも、三崎が無意識?に防御姿勢を取り、耐え凌いで再びスタンド戦へ。終盤、ジリジリと三崎が地味な揺さ振りをかけ始める。スイッチング、フェイント、そして、虚をつくボディーブローが決まる。続け様に一手前と同モーションの左フックを今度は顎へヒットさせる。堪らず尻餅をついた秋山はこの日、初めて表情が変化し、慌てて立ち上がろうとした次の瞬間、三崎の蹴り上げた足の甲が秋山の顔面にメリ込み勝負アリ!!最後の光景は”バキ”の板垣恵介氏の描写そのもので圧巻。

三崎和雄の大逆転で決した後、リングの上も外も一気に臨界点へと達し、”埼玉メトロダウン”大爆発。雄叫びを上げ、奇声を発し、見ず知らずの者同士が抱擁し合ったり、ハイタッチしたり、異様な熱気に包まれる。己の勝利に舞い上がった三崎は、朦朧とする秋山を呼び寄せ肩に手を置いて”あの件”を叱責すると同時に、魂が伝わったと激励する。でも、最後の座礼に見えない土下座は必要ない。

『4点ポジションからのサッカーボールキックは反則では?』との声があるが、あれは”倒れ際の追い討ち”ではなく、”起き上がり際の攻撃”だと見えた。帰宅後、VTRを繰り返し見てみたが、試合中の流れを考慮すればギリギリ”セーフ”の範疇だった。もし、ジャッジに不服があったのなら、秋山サイドはあの時、その場で抗議するべきだった。リング内は多くの者が決戦の余韻に浸っていて、時間も充分にあった。事実、一番近くのコーナーで立ち会っていた彼らセコンド陣も、即座に合否を”断定”できない程、微妙なアクションだった。
後になってから抗議するのもいいが、秋山本人は敵地ながら最初から最後まで威風堂々と己を貫き闘い抜いた。そんな、勇姿を目の当たりにした観客からは、秋山の退場時に惜しみない拍手と歓声が送られた。秋山は、ただ無残に散った訳ではない。格闘家として生きるという”魂”を怒号の飛び交う中、言い訳せず一人、刻んだのだ。その誉れ高き行動に、後付けで外野がモノを言っては濁すだけ。


会場にいた全員が余韻に浸り、興奮したまま口々に感想を述べながら休憩タイムへ突入。その最中にメインの皇帝ヒョードルの試合が地上波の関係上、繰り上がりとアナウンス。「我々に地上波が帰ってきました」って…確かにそうだけど、現実は、ただの他力介入。タバコ、トイレ、売店の全てを諦めて、先ほどの秋山×三崎の激戦をレポート作成し、依頼されていた3名へのメール送信作業に追われる。そんな僕を見兼ねた友人のセクシーな彼女がスナック菓子と飲み物を差し入れてくれる。2007年最後の食事は”とんがりコーン”と”森永マミー”と”ボイン”。


<第6試合>
○エメリヤーエンコ・ヒョードル×チェ・ホンマン●

「葬送の式典」、この言葉にグッと来た。なんという名言か!!映像を手がける佐藤Dを含めた大会開催に拘った旧DSEスタッフの心意気を表現するに最も相応しい。これはファンに対する感謝の意を込めた”葬送”なのだ。しかし、思わぬ試合順変更で最終上映予定の煽りVが一部、未完のまま流れる。制作者の心境を考えると気の毒でならない。最終・大トリ予定の映像が、こんな形で…さぞや、不本意だろう。

試合の展開は、大きい人が体格差と体重差を生かして覆いかぶさる。器用な下の人がサンボの基本で足掛けて締め上げる。確かにホンマンが善戦した風に見えるが…パウンドも何発かはヒットして皇帝の顔に傷を付けたものの、○億とも言われるギャラを払う価値が本当にあるのか?と問いたくなる試合。


<第7試合>
○桜井“マッハ”速人×長谷川秀彦●

長谷川とマッハの差が予想以上に開いていた。マッハの打撃を嫌い組み付いて転がる長谷川、何度も何度も繰り返される同じ攻防。マッハも強いが、あと一つが足りずに時間だけが過ぎ、会場はどんどん冷めていく。長い長い試合は判定でマッハ。


ここでモンテ・コックス氏が登場しM−1グローバルの日本大会?を期待していてくれと発言。


<第8試合>
○青木真也×チョン・ブギョン●

シドニー五輪の柔道シルバーメダリストであるブギョン。カルバンの代役として急遽組まれた”金魚”ならぬ”銀魚”かと思いきや、侮るなかれ、腕がらみとグラウンドでの卓越した技術、青木の腕を2回もキャッチする実力者。2R以降、青木がポイントを挽回すべく、ポジショニング優先に試合を展開する。この経験値の差が判定結果に出て青木に軍配。個人的には見応えある試合だったが、カウントダウンの時刻が迫っていて、周囲も関係者も 心では「早く、極めてくれぇ〜頼むぅ」と願っていたはず。


そして、ギリギリセーフのカウントダウン&フィナーレ、しかし、言い馴れない”やれんのか!”の掛け声はグダグダのバラバラ。万感の想いを胸に、さようなら〜PRIDE!・・・ぅん???!!!
垂れ幕が現れ「桜咲くころ、夢の続きを・・・」「今年も やれんのか!」
モニターには「花咲く頃に、会いましょう・・・」
でも、一番のサプライズは、リング上、立木文彦氏の挨拶。いい声ですわ。


こんな事、書いていいのか分からないが、毎回、リングサイドの某側に陣取る”影の軍団”の姿が見当たらず。脱却したのか、ご遠慮願ったのか、定かではない。その代わりに今回のVIP席には、招待者より自腹組と思しきファンが大勢詰め掛けていた事が、いい傾向だったと思う。様々な事、残念に思いますが、形態なんか気にせず”夢のステージ”をこれからも担っていって下さい。
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